| 辨 | ゼンマイ科 Osmundaceae(紫萁 zĭqí 科)には、3-5属がある。 
 ゼンマイ属 Osmunda(紫萁屬)
 ヤマドリゼンマイ属 Osmundastrum(桂皮紫萁屬)
 シロヤマゼンマイ属 Plenasium(羽節紫萁屬)
 シロヤマゼンマイ P. banksiifolium(Osmunda banksiifolia;粗齒紫萁)
 
 
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            | ゼンマイ属 Osmunda(紫萁 zĭqí 屬)には、世界に約10種がある。 
 オニゼンマイ O. claytoniana(Clayutosmunda claytoniana,
 Osmundastrum claytonianum;絨紫萁)
 ゼンマイ O. japonica(紫萁)
 O. javanica(寛葉紫萁)
 ヤシャゼンマイ O. lancea(日本紫萁)
 レガリスゼンマイ O. regalis
 O. vachellii(華南紫萁)
 
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            | シダ植物については、しだを見よ。 | 
          
            | 訓 | 『言海』に、「ぜんまい 〔新撰字鏡ニ、薇を万可古と訓ゼリ、其芽、錢ノ大サニ卷ケバ、錢卷(ゼニマキ)ノ音便ナラム、或云、錢ノ形ニ廻轉スレバ、錢舞ノ音便カト〕 」と。 「和名ぜんまいハ錢卷ノ意ニシテ卽チ其初生ノ胞子葉錢ノ大サニ卷ケバ斯ク云フナラント謂ヘリ 我邦ノ學者從來漢名ノ薇ヲぜんまいニ慣用セシト雖モ是レ誤ニシテ薇ハすずめのゑんどうノ名ナリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。
 なお、ばねの発条(ぜんまい)は、形がゼンマイの若芽に似ていることからつけられた名。
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            | 古くシナの殷周交替期に現れた義人、伯夷と叔斉についての逸話(『史記』「伯夷叔斉列伝」)に、この二人が「首陽山に隠れ、薇(び)を采(と)りて之を食」い「遂に首陽山に餓死」したという話は日本でも古来大変有名である。しかして、ここにいう「薇(び)」とはどんな植物であったのかについて諸説があり、日本ではこれを嘗てはワラビと訓み、或はゼンマイと訓んできた(近年ではノエンドウの仲間とする説が有力である)。 | 
          
            | 小野蘭山『本草綱目啓蒙』23(1806)薇に、「ゼンマイ ゼンゴ上総」と。 | 
          
            | 『広雅』に「茈萁(シキ,zĭqí)、蕨也」とあるのは誤り、蕨はワラビである。 なお、茈は紫、ムラサキを見よ。
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            | 説 | 日本・朝鮮・臺灣・陝甘・山東・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ヒマラヤに分布。 | 
          
            | 誌 | 若い栄養葉のあくを抜いて乾したものを 食用にする。地上部を乾燥して薬用にする。また、若葉を覆う綿毛を干して綿とし、また布(ぜんまい織)を織る。 | 
          
            | 中国では、根状の茎及び幼い葉の上の綿毛(老虎臺衣)を薬用にする。『全国中草葯匯編』上/847 また、根を貫衆と呼び、薬用にする。ヤブソテツの誌を見よ。『中薬志Ⅰ』pp.428-438
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            | 古来、薇の字をゼンマイと訓ずるのは誤り、薇は野豌豆の仲間 Vicia を指す。 | 
          
            | 「蕨(わらび)は生にては性あしく味もよからず。塩づけよし。ほしたるは出羽の秋田より出づる物、柔にして味よし。ぜんまいも食様は右に同じ」宮崎安貞『農業全書』(1697)。 |